ヨガやピラティスのような身体を動かす習慣は、現代社会を生きる私たちにとって大切な健康法となっています。
そんな中、「自分の理念に基づいたスタジオを開きたい」と考える先生方も多いのではないでしょうか。
しかし個人経営のスタジオを維持することは、想像以上に難しいもの。ここ数年、開業と閉業を繰り返すスタジオが少なくありません。
なぜ経営が不安定になるのか、そして長く愛されるスタジオになるためには何が必要なのかを、現場の声を交えながら解説していきます。
個人経営ピラティス・ヨガスタジオが直面する5つの壁

まず多くの個人経営スタジオが直面する主な課題を見ていきましょう。これらの壁を理解することが、対策の第一歩となります。
1. 競争の激化と差別化の難しさ
ここ10年でヨガやピラティスの人気は爆発的に広がりました。
それに伴い、様々なタイプのスタジオやオンラインサービスが増え、競争は激化しています。
特に大手フィットネスチェーンやホットヨガスタジオなど、資本力のある企業の参入により、個人スタジオの立ち位置が難しくなっています。
「近所に大手のヨガスタジオができてから、生徒さんが減り始めました。月会費も安いし、設備も整っているので、比べられると厳しいですね」というようなお声を多く聞きます。
このような状況で自分のスタジオの「らしさ」を明確にできず、「なぜここに通うべきなのか」という理由を示せないスタジオは、次第に生徒を失っていきます。
2. 収益構造の不安定さ
個人スタジオの収益源は主にレッスン料。しかし、この収入源は非常に不安定です。
- 生徒数の季節変動(年末年始や夏休みは減少傾向)
- 天候による影響(雨の日は急なキャンセルが増える)
- 社会情勢による影響(コロナ禍のような予期せぬ出来事)
「コロナ禍の時は本当に苦しかったです。ようやくオンラインレッスンの体制を整えても、対面と比べると収入は半分以下。固定費は変わらないのに、収入だけが激減して…」こう感じていた経営者さんもいるのではないでしょうか。
加えて、ほとんどのスタジオが抱える大きな問題は「ドロップイン(単発受講)」と「月謝制」のバランス。
安定収入を得るためには月謝制の生徒を増やしたいところですが、現代の生活スタイルに合わせた柔軟な料金システムも求められています。
3. 人材確保と育成の難しさ
良いインストラクターを見つけ、定着してもらうことも大きな課題です。特に、以下のような点が悩みの種となります。
- 優秀なインストラクターの採用競争の激化
- フリーランスインストラクターの掛け持ち問題
- インストラクターの成長をサポートする余裕の不足
経営者自身がメインインストラクターを務めるケースも多く、その場合は自分の体調管理と経営の両立も大きな課題となります。
4. マーケティングとブランディングの弱さ
多くの個人スタジオは、素晴らしいレッスン内容を持ちながらも、それを効果的に伝える術を持っていません。
- 効果的なSNS運用ができていない
- ホームぺージの見やすさや情報更新が不十分
- 地域コミュニティとの連携不足
- 「なぜ自分のスタジオなのか」を明確に伝えられない
「教えることには自信があるんですが、自分をアピールするのが苦手で…。インスタも毎日更新している同業者を見ると、焦りますね」、これはスタジオ経営者の多くが抱える本音ではないでしょうか。
特に、ヨガやピラティスは「効果」を目に見える形で示しにくいため、信頼関係の構築が重要です。
その信頼を広げるためのマーケティングスキルが不足していることが、多くのスタジオの成長を妨げています。
5. 経営知識・スキルの不足
最後に、多くのスタジオオーナーが直面する根本的な問題—経営知識の不足です。
ヨガやピラティスの指導者としての技術や知識はあっても、以下のような経営に必要なスキルが不足していることが多いのです:
- 財務管理と会計の基礎知識
- 契約や法的問題への対応力
- 事業計画の立て方と見直し方
- 顧客データの分析と活用方法
特に顧客データの分析は集客・マーケティング改善に直結するので、経営の安定のためにデータ解析力を身に付けることは重要です。
長く愛されるピラティス・ヨガスタジオになるための5つの対策

ここからは、上記の課題を解決し、持続可能なスタジオ経営を実現するための具体的な対策を紹介します。
1. 明確な差別化ポイントを作る
「何でも教えます」という姿勢では、特色が出せません。自分のスタジオならではの強みを明確にしましょう。
- 特定のニーズに特化する(例:産後の女性向け、オフィスワーカーの腰痛改善など)
- 独自のレッスンプログラムを開発する
- ターゲットとする顧客層を絞り込む
- 自分自身の経験や背景を活かした「ストーリー」を作る
「私は出産後の体の変化に悩んだ経験から、産後の女性に特化したピラティスプログラムを作りました。同じ悩みを持つ方々からの共感を得られ、口コミで広がっています」(ピラティススタジオ経営・Fさん)
特定の領域で「この先生に習いたい」と思われる存在になることが、長期的な安定につながります。
2. 複数の収益源を確保する
レッスン料だけに頼らない、多角的な収益構造を作りましょう。
- 物販の強化(ヨガマット、ウェア、グッズなど)
- オンラインレッスンの提供(地理的制約を超えた顧客獲得)
- ワークショップやリトリートの定期開催
- インストラクター養成コースの開設
- 企業向けプログラムの提供など
多様な収益源を持つことで、一つの収入が減少しても全体として安定した経営が可能になります。
3. コミュニティ作りを重視する
単にレッスンを提供するだけでなく、生徒同士のつながりを育む「場」を提供することが、長期的な関係構築につながります。
- レッスン後の交流会の開催
- 生徒参加型のイベントの企画
- SNSでのコミュニティグループ運営
- 季節のイベント
人と人とのつながりがあれば、少々料金が高くても、遠くても、通い続けるモチベーションになります。
4. 顧客管理とデータ活用を徹底する
感覚だけで経営するのではなく、データに基づいた意思決定を行いましょう。
- 顧客管理システムの導入(予約状況、出席率、契約更新率など)
- 定期的なアンケート実施と改善
- レッスンごとの収益性分析
- 過去データに基づく季節変動への対策
感覚と経験も大切ですが、数字で経営状況を把握することで、より正確な判断ができるようになります。
5. デジタルマーケティングの活用
限られた予算でも効果的に集客するために、デジタルマーケティングのスキルを磨きましょう。
- SNSの効果的な活用(定期的な投稿、生徒の変化共有、裏側の紹介など)
- Googleビジネスプロフィールの最適化
- 定期的なメールマガジン配信
- ユーザーに優しいホームぺージ作り
- 口コミサイトの活用と管理
オンラインでの存在感を高めることで、オフラインでのスタジオの価値も上がります。
成功スタジオの共通点
- 危機をチャンスに変える柔軟性:問題を前向きに捉え、新しい可能性を見出す姿勢
- 本質的な価値の追求:「なぜ自分たちのスタジオが必要か」を常に問い続ける
- 生徒との信頼関係の構築:一時的な収益より、長期的な関係性を重視する
- 経営者としての学びの継続:指導者としてだけでなく、経営者としての成長を怠らない
まとめ:持続可能なスタジオ経営のために

個人経営のヨガ・ピラティススタジオは、単なるビジネスではありません。多くの人の心と体の健康を支える大切な場所です。
だからこそ、長く存続できるよう、経営面での工夫も欠かせません。
- 明確な差別化
- 複数の収益源
- コミュニティ作り
- データ活用
- デジタルマーケティング
- 経営知識の学び
これらを総合的に取り入れることで、不安定な状況も乗り越えられるスタジオになるでしょう。
何よりも大切なのは、自分自身の理念を見失わないこと。「なぜこのスタジオを始めたのか」という原点に立ち返りながら、柔軟に進化していくことが、長く愛されるスタジオの秘訣なのかもしれません。
皆さんのスタジオが、多くの人に癒しと成長の場を提供し続けられることを願っています。


投稿者プロフィール

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個人サロン・自宅サロンの集客・マーケティングを請け負うサロン集客コンサルタント。
2012年にWEBマーケティング会社から独立し「店舗集客集団WAO」を立ち上げる。
現在はサロンの集客に特化した「サロンコンサルティングbasis」も同時に運営中。
「丁寧で的確なヒアリング」「専門用語に頼らない誰にでも分かる解説」「誠実で安定した集客サポート」を理念に、コンサルティングサービスを開始。
常時抱えるクライアントは100を超えており、特に1人で経営する店舗やサロンのサポートを得意とする。





